アブなんちゃら(多分パチモノ?)を
ちょっとだけ解析
最近、TVの通販やホームセンターなどでよく「アブなんちゃら」というフィットネスマシーンを見かけます。電子装置を使って筋肉を強制的に動かすことによって痩せることを目的とするアレです。
TVのCMではモデルの人が体に付けて「プルプル」やってますよね(笑)
パチモンを含めるとかなりの種類があるようですが、どれもやってることは同じです。
で、知人がこの装置を買ったので、拝借してどのような波形の信号で、電圧はどのくらいなのか?という部分についてちょっとだけ調べてみました。
2003年9月現在、もう殆ど見かけなくなりましたね・・
ブームが去ってしまったのでしょうか。
最初の頃、通販で高い値段で買った人はかなりジタンダをふむハメになったことでしょうね。
通販に登場してから1ヶ月位後にはホームセンターからソ○マップに至るまでどこら中で通販価格の半額くらいで売られてたんですからね・・・(笑)
その後、通販サイドでも販売価格は下げずに2個とか3個とかセットにして実質的に単価を安くして売ってましたが・・(爆)
まぁ、あまり出てスグに飛び付かない方がいいのかもしれないですね。
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まず、いちばん上にあるパッドが人体に接触させるための電極パッドです。 (今回の解析ではこれは使っていませんが装置の一部ということで一緒に写してあります。この他には固定バンドや皮膚との接触抵抗を下げるためのジェルなどがあります) 真ん中にある3個の操作ボタンが付いている楕円形(?)の物体が、アブ●●ッ●の本体(つまり心臓部)です。この装置はリチウムボタン電池(3V)1個だけで動きます。 人体に対して使う装置なので電流は少ない・・ということで小さな電池1個でも動かせるんですね。 その下にあるのは負荷抵抗と接続のためのミノムシクリップ、オシロスコープのプローブです。 最初、負荷抵抗無しで測定したのですが、装置が「人体に接触していない」というように検知してしまうためか、すぐに電源が切れてしまってダメでした。 電流はそれほど流せない・・ということで100kΩくらいの抵抗を負荷抵抗として付けてみたところ、抵抗値が高すぎるためなのか、それでもダメでした。10kΩの抵抗を付けたところ、安定に動くようになったので、一応10kΩを負荷抵抗として測定をしました。 |
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下の本体の部分を拡大したものです。 操作ボタンが3個、状態表示用のLED(赤/緑2色発光)が2個あります。 負荷抵抗が適正であれば、LEDが点滅します。この場合、出力の強さに応じてLEDの明るさも変わります。 なお、負荷が不適正な場合はLEDは点灯したままになり、10秒くらいで電源が切れてしまいます。 |
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本体部分の内部(基板)です。左側が裏面、右側が表面です。 スイッチ類は、全て基板上にパターンが形成されており、ケース側にラバー導電体が付いたボタンがあります。ボタンを押すとラバー導電体が基板のパターンに接触して導通するというものです。最近はよく見かけるスタイルのスイッチですね。ゲーム機のコントローラなどもこのようなスイッチが採用されています。 コントローラチップは、基板表面に直接ベタ付けとなっています。上から樹脂で固められてしまっています。基板裏には昇圧用と思われるコイルがあるのがわかります。 ケースにはホックが付いていて、基板をケースに入れると基板上の出力電極がこのホックに接触し、そこからパッドに接続されるようになっています。 |
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かなり強引なやりかたなので、測定の精度は良くないと思いますが・・・ 極性が判らなかったので適当につないで測定したところ、ピークが負極性になってしまいましたが、電圧や波形は判るのでそのまま測定しました。 アブなんちゃらのモードは、連続モード(一定のレベルで連続的に筋肉に刺激を与えるモード)で、出力レベルはMAX(最大)です。 極めて時間の短いパルス波形ですが、その電圧はなんと80V以上です。写真では管面表示の数字が潰れてしまって見にくいですが、81.6V(p−p)と表示されています。直流成分は出ていませんでした。 周期は約20ms(1秒間に約50回)です。オシロの画面で▲のある所が、パルスの出ている所です。 |
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さらに、遅延掃引をかけてパルス幅を見てみました(波形B) ジッタが大きくブレてしまうため、なかなか写真が撮れなかったのですが・・・なんとか撮れました。 基板を見た限り、水晶発振器らしきものは見当たらずCRでクロックを生成しているものと思われ、そのためにジッタが多いものと思われます。 これでは、パルス幅は約70μsくらいであることがわかります。 このことから、極めて短い時間で高電圧を人体に印加していることがわかります。 もっとも、時間が長かったら殺人マシンになってしまいますが・・(笑) しかし、これはこの装置での最強レベルとはいえ、人体に80V以上の電圧が印加されるわけです。結構怖いですよね。 測定中は、誤って抵抗とかに触らないようにかなり神経質になっていました。 まぁ、一瞬「感電」させて筋肉を動かさせるわけですから、このくらいの電圧が必要なのかもしれませんが・・・自分的には、ちょっとこれは使う気にはなれません・・・ 最後に、各レベルでのパルスの電圧を示します。但し、これはあくまでもこちらでの測定値であり、電池の状況やその他条件によって変わってくるので絶対的な値ではありません。 |
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余談ですが、持ち主の話では使用中に操作ボタンが壁にぶつかって押されてしまい、一気に最強レベルになってしまい、しばらく筋肉がつったままになってしまったそうです。動作中は、万が一の誤操作などでレベルが上がらないような安全策が必要ですね。 さらに、ジェルの塗り方が不完全だったらしく、ジェルがきちんと付いていなかった部位にキズができてしまったとのこと・・・実際、その部分がミミズ腫れのようになっていました・・・ 持ち主本人は、「怪我人製造装置」なんて言ってましたが・・でも、使い方を誤ればかなり危険なことは間違いありません。ジェルも含めて正しく使わないとケガの元です。 あと、これってちょっと前に流行った「肩こり治療器」と同じ原理なのかもしれませんね。 協力: BOSSケテ氏(アブなんちゃら本体) はっちー氏(デジカメ) Thanks! |