ソニーのビデオデッキの修理法

(カセット取出時にテープが絡んでワカメになる場合)


ソニーのビデオデッキは、古くなってくると、なぜかカセット取出時に内部でテープが
絡み、ワカメになってしまうという故障がよく起こります。
全く同じ故障を起こしているソニーのデッキを複数台見ています。

他のビデオデッキでも、内部のゴムベルトが緩くなったり、モーターのトルク低下等で
巻き戻しが最後までできない・・・という故障はよくあることなのですが、テープが絡
んだりすることはめったにありません。
ソニーのデッキの場合、ベルトは突起付きベルトを使っているので、緩んで巻き戻しが
最後までできないなどということはあまり起こらないようなのですが、カセットを取出
した時に、中でテープが絡んでワカメになってしまうという致命的故障モードに陥りや
すいようです。巻き戻しができない程度なら、まだテープは無事なのでいいのですが、
テープがワカメになってしまっては、せっかく今まで録り貯めたライブラリが台無しに
なってしまいます。こんなのでライブラリがダメになったのではたまったもんじゃあり
ません。

最初は、メカのあたりを調べてみても、イマイチ原因がはっきりしなかったのですが、
今回、ソニーのビデオデッキを1台、バラバラにして、やっとその原因を突き止めまし
た。メカ(機構)関係はあまりよくわからないもので、ちっと苦労・・・(爆死)

対処法は、油を差すという、ごく単純なものなんですが、
周辺にはヘッドやキャプスタ
ン、ピンチローラーなどのテープ走行系が密集しているので、細心の注意を要します。

万が一、テープ走行系に油を付けてしまうと、目も当てられない事態になります。自信
が無い場合は、ヘタに手を出さない方がいいでしょう。 

 一応、メーカーの保証する修理方法ではないので、これまで経過を追っていましたが
修理以降、テープが絡まなくなったので、この方法で大丈夫だと思います。ただ、注意
が必要なのは、使う油の種類によっては、軸受けに馴染むのに時間がかかることがある
ということです。シリコンオイルでも、グリスに近いような粘性度を持ったものでは、
軸受けに浸透するまでに、暫く時間がかかる場合があります。こういう時は、ムリをせ
ず、油が浸透するのを待ちましょう。慌てると、被害が拡大します。
目安としては、問題となっている部分(写真参照)を手で動かし、そのまま手を放した
ら、バネの力で、自然に、素早く元の位置に戻るようになれば大丈夫です。ノロノロと
動いて、途中で止まる場合は、まだ、油が軸受けに馴染んでいません。また、油が馴染
んでいれば、手で動かしたときも、軽く動くはずです。








さて、上の写真は、SLV−F60という、ちょっと古い機種で、この間までカセット
取出し時に絡んでテープがワカメになってしまって困っていたものです。
(実は、近所のゴミ捨て場で拾ってきて、当初は電源も入らない状態だったのを修理し
たものです。しばらく使っていたら、テープが絡むようになってきたため、TVゲーム
のセレクタになりさがっていました。まぁ、拾い物なのであまり文句は言えないのです
が・・・)
ごく最近の機種は、このような構造になっているかわかりませんが、ちょっと前の機種
は、だいたいこのような構造になっていると思います。
写真の中で、赤い四角で囲ってある部分が、テープが絡む元凶となっている部分です。
その部分を拡大したのが、下の写真です。









この部分は、テープをキャプスタンまで引き出す機構なんですが、カム機構(?)によ
ってテープを引き出し、カセット取出し時にはバネで戻るようになっています。
赤い四角で囲った部分は、この機構の軸受け部分なのですが、この部分は、すべり軸受
けを使っていて、この部分の動きが悪くなる(+バネの弱体化)と、カセット取出し時
にテープが完全に戻らないままカセットが出てきてしまい、結果としてテープがワカメ
になってしまうというわけです。
ということで、軸受け部分に油を差すわけなのですが、
決して、CRC−556などの
スプレー油を使おうなどと考えないでください。
先にも書いた通り、この部分の周辺に
は、ヘッドやキャプスタン・ピンチローラーといったテープ走行系が密集しています。
万が一、
テープ走行系に油が付いてしまうと、手の付けようがなくなってしまいます。
軸受けの部分だけに油を差すようにして、他の部分には油が付かないように注意してく
ださい。油を差したら、しばらく手で強制的に動かして、軸受けに油をなじませます。
うちの場合は、シリコン系オイルを使いました。

実際の作業は、油を差す(注意は必要だけど)という単純な作業なんですが、こんなの
でも修理に出すと、とんでもない金額を請求されてしまいます。自分でできるようなら
修理に出さずに片付けてしまいたいものですね。
修理でお金取られて、絡んだテープの内容保証は無し・・では踏んだり蹴ったりですか
ら・・・

でも、これで、今までTVゲームのセレクタの役目しか果たしていなかったデッキが、
本来の役目を果たせるようになりました。
あと、ソニー以外でも、同じような機構を使っているデッキなら、この方法で対処でき
る可能性があります。録画や再生がきちんとできるのに、カセット取出し時にトラブル
を起こす場合は、調べてみるといいでしょう。



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